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2019 / May
メディア
リブランディングの裏側を座談会で振り返る

今回のリブランディングに至った経緯と、リブランディングを経た今後の展望を、代表取締役の大和直樹と人事部次長の国本昌裕が、社外パートナーと共に振り返ります。お迎えしたのは、リブランディングを陣頭指揮していただいた【THIRD株式会社】の中島竜太郎様、高田潤一様と、つばめタクシー大和グループの求人広告やLP、動画などの制作をお任せしている【オールイン株式会社】の前田優一様。中島様によるファシリテーションのもと、リブランディングの前後で「何がどう変化したのか」をたっぷりと語ってもらいました。

 

 

リブランディング以前は「面白いことをしている会社」に留まっていた

 

中島:つばめさんと前田君が知り合ったのって、いつくらいでしたっけ?

前田:2年くらい前ですかね。別の代理店から紹介を受けたんですよ。つばめさんの広告制作を手がけてくれないかって。ちょうど『釣り部採用』が話題になってた頃です。

国本:『釣り部採用』は話題になりましたね。SNSのシェア数は2000を超えて、テレビ番組でも取り上げられて。でも、なんだかんだ応募には結びつきませんでした。

大和:求職者に本来伝えるべきことが伝わっていなかったのかもしれません。釣りが好きな人たちからの連絡はあったんですけど(笑)。

中島:当時は広告やブランディングに対して、どういった考え方をお持ちでしたか?

大和:本腰を入れて考えていませんでした。もちろん本腰を入れていたつもりだったんですけど、求人広告やLPを出稿して、応募が来たら対応するっていう一般的な手法で何とかなると思っていましたから。

国本:キャッチーなものを作りたいという意向は持っていました。『釣り部採用』のリリース後も、「面白いことをする会社ですね」という声はあったんですよ。その後に前田君が作ってくれた『アバンチュールドライブ』にしてもそう。でも、「面白いことをしている会社」からもう一段階ステージを上げたいと考えていました。

前田:僕としても制作会社としてではなくて、本質的な課題を解決するために根本からつばめさんに関わりたいと思っていました。色々と話し合う中でリブランディングの必要性を感じ、じゃあ中島さんに入ってもらおうと。オールインも中島さんのリブランディングで立ち位置が定まったので、安心して紹介できました。

 

創業以来、初となるリブランディング「自分たちは何者なのか」の明確化

 

中島:リブランディングは僕の中で、「情緒的な目的の設定」として位置付けています。噛み砕いて言うなら、その企業のエモさを出すこと。エモーショナルに基づくブランディングは企業の持続的な活動に欠かせないもので、中小企業にこそ必要だと考えています。

大和:確かに自分たちの存在意義を誇示しなければ、他の企業に埋もれてしまいますからね。中島さんと話す中で、「つばめタクシー大和グループとは何者なのか」を明確に定める必要があると思いました。

国本:リブランディングは初めてでしたが、不安よりも「やってみたい」という気持ちの方が強かったですね。採用担当になってまだ2年くらいですが、他社と同じことは絶対にしてはいけないと常に思っていたので。

前田:広告でもそうですもんね。スタンスが共通しているからこそ、こうしてタッグを組めているのだと思ってます。

国本:「求職者にファンになってもらいましょう」という言葉は刺さりました。目先のメリットに惹かれるよりも、会社を好きになってエントリーした求職者の方が確実に定着するので。

大和:今の社員たちにも響くものであってほしいという要望は伝えました。リブランディングによって社内の意思統一を図ることができれば、結果として求職者にも魅力を感じてもらえるんじゃないかと。

国本:いい会社って、みんなが同じ方向を向いてますからね。

中島:そこはリブランディングを進める上で特に意識していた部分です。採用だけでなく、社員さんのモチベーション向上や育成の活性化など、全方位的に刺さる言葉とビジュアルを模索しました。

 

 

広告に頼ることへの課題感と採用手法を見出せない危機感

 

中島:難点だったポイントもあえてお聞きしたいです。リブランディングは費用がかかるため、求人広告の出稿を一時的に控えることになりました。そこに迷いはありましたか?

国本:なかったですね。求人広告の出稿を控えてでもリブランディングに投資すべきだと思いました。

大和:他社と同じ採用手法ではいけないと痛感していた時期でしたからね。今のタクシー業界って、変革が起きてるんですよ。Uberのようなサービスが浸透する中、タクシーがタクシーでなくなる時代が訪れようとしていて。その中で戦うためには、自分たちも新しい領域に踏み込むべきだと考えていました。

中島:求人広告を作る観点から見て、前田君はリブラディングについてどう思ってました?

前田:大歓迎でしたね。企画ありきだと、成功しても理由が分からないんですよ。「次どうしようか」ってゼロから考えないといけないですし、制作物の方向性もブレブレになる。でも、企業としての核を念頭に置いた上で広告を作っていれば、成功したときも失敗したときも要因を紐解くことができます。この核をこう表現したらこういう効果になるのかって。

中島:そうだね。アウトプットの表現が違ったとしても、一つひとつが断続的にならない。

前田:本質的なソリューションは、継続的にお付き合いする中でしか生まれないんじゃないかなと思ってます。

国本:ワークショップは印象に残ってますね。「細かいところまで聞くな」って思いながら答えてました。

大和:雑談みたいな感じで気軽に話せたよね。私たちが思ってることは全部伝えられたと思う。

中島:実は、お酒の席でお話ししたこともすごくヒントになってるんです。お二人の奥にある本音を聞けたので。

国本:あぁ、前田君が酔っ払ってくだを巻いてたときか。

大和:2軒目に移動してから、ずっとどこかに電話してたよね?

前田:全然覚えてないです(笑)

 

プレゼンのときに思わず涙!?“DRIVE CREATIVITY”に込めた想い

 

中島:今回の採用サイトをプレゼンさせていただいたとき、率直にどう思われました?

大和:インパクトがあってかっこいいなと思いました。これまでに中島さんや高田さんが手がけてきた事例を見た上でお願いしているから、プレゼン前はワクワクしてたんですよ。

高田:『釣り部採用』や『アバンチュールドライブ』の企画に即答でゴーサインを出せる代表って、そうそういないと思っています。だからリブランディングを進める上でも、エッジは一切削ぎませんでした。

国本:提案書にドライバーのストーリーが架空で描かれていたんですけど、あれを読んだときに涙が出たんですよ。相手に対してここまで親身になれる人こそが、まさに私たちが一緒に働きたい人だなと。このストーリーに共感できない人はつばめで働かない方がいいとさえと思いました。

前田:ストーリー自体はサイト上には掲載されていませんが、あの情緒はサイト全体で表現されてますね。

大和:コンセプトワードにも期待していました。一連のワークショップがどういうワードに落としこまれるんだろうって。“DRIVE CREATIVITY”は、私の中にスッと入ってきましたね。これはいいなと。

中島:つばめさんが大切にしている「先を行くおもてなし」を、再現性の高い言葉で表現したかったんです。なおかつ、前のめりさがあって、意味の履き違えが生まれない言葉はなんだろうってずっと考えていました。

国本:私たちでは思いつかないワードですね。というより、おそらく内部からの視点では思いつかない。社外パートナーとタッグを組むことの重要性を改めて感じました。

 

 

長期的なブランディング戦略でドライバーのイメージを変えていく

 

中島:まだリリースしたばかりですが、何か変化を感じますか?

大和:そう言えば、求人広告を今出してるんですけど、前向きな求職者からのエントリーが増えてるんですよ。

中島:プレゼンの内容は前田君にも共有していたので、リブランディングが完結しないうちから求人広告にエッセンスが派生したのかもしれませんね。

国本:広告の入り方が今までと変わったと感じました。これまでは「うち、稼げます!」「福利厚生が充実してます!」みたいにメリットを前面に出していたんですけど。

中島:機能訴求だけでは求職者の興味は喚起されないんですよ。DRIVE CREATIVITY×給料、DRIVE CREATIVITY×福利厚生といったように、コンセプトとセットで伝えることで求職者の中にメッセージが入っていきます。

前田:機能だけをピックアップすると、どの会社もそこまで変わらないですからね。つばめさんの広告は今後、より感覚的に訴えるものになると思います。

中島:これからもっと変化を起こしたいですね。サイトを作り終えた今、少し燃え尽きた感はありますが(笑)。

大和:長い時間をかけてリブラディングしてきましたからね。半年以上はかかってるんじゃないかな。

中島:サイトは作ることで満足しがちなんですけど、どうやって育てていくかがすごく重要です。記事の更新やコンテンツの追加、機能改善など、今後ともお付き合いできればなと。

国本:今度入社する新しい採用担当にもチームに加わってもらうつもりです。すごく正直で、つばめに新しい血を入れてくれそうな子なんですよ。

中島:お会いできるのが今から楽しみです。では最後に大和社長から、今後のブランディングを通して実現したいことをお伺いして締めましょうか。

大和:つばめの存在意義をより多くの人に知ってほしいのはもちろんですが、もっと先のことを言うと、ドライバーという職業のイメージを変えたいと思っています。10年後にはなりたい職業ランキングで上位に入るくらい、広範囲に影響を与えられる企業を目指したいですね。